機械宇宙学科分野紹介

構造制御分野
教　　員	トドロキ　アキラ轟　章教授 atodorok@mes （※）東工大教官情報	ミズタニ　ヨシヒロ水谷　義弘准教授 ymizutan@ginza.mes （※）東工大教官情報	スズキ　ヨシロウ鈴木　良郎　助教 ysuzuki@ginza.mes （※）東工大教官情報
研究概要	電気抵抗変化を用いたCFRPはく離検出　CFRP積層板は層間強度が弱く，容易に層間はく離が発生し，構造物の圧縮強度・圧縮剛性の大幅な低下を招くので，層間はく離の検出は構造安全性保証の観点から非常に重要です．発生したはく離は目視不可能であるため，低コストかつ簡便なはく離検出手法が求められています．　本研究室では，はく離によって生じた電気抵抗変化率から応答曲面法を用いて逆問題解析を実施することにより，層間はく離の位置及び寸法を同定する低コスト・簡便手法を提案し，実機適用試験を実施してます． Akira Todoroki, Miho Tanaka and Yoshinobu Shimamura, Composites Science and Technology, Vol.62, No.5,(2002)pp.619-628 Akira Todoroki, Miho Tanaka and Yoshinobu Shimamura, Composites Science and Technology,Vol.63,No.13,(2003),pp.1911-1920.
	フラクタル分枝限定法による翼構造耐フラッタ性向上の積層構成最適設計　航空機複合材料翼構造の耐フラッタ性向上の積層構成最適設計を目的として，フラクタル分枝限定法を用いた積層構成最適設計手法を提案し，解析的にその有効性を検証，提案手法の有効性を示しています．　まず超音速域のフラッタ問題に対し，フラクタル分枝限定法が要求する解空間近似に有効となる修正応答曲面法および拡大応答曲面法を，また実機設計に必要不可欠な制約条件導入手法，少ない追加解析数により耐フラッタ性向上可能とする基底繊維配向角最適化手法を提案し，その有効性を解析的に示し，フラッタ問題に適用可能な積層構成最適設計手法を構築しています．　更に，提案手法を要求する計算コストの大きさから従来手法の適用が困難であった遷音速フラッタ問題に適用し，提案手法の有効性を示しました． Yoshiyasu Hirano, Akira Todoroki, Advanced Composite Materials, 13,2,(2004)pp.89-107 Yoshiyasu Hirano, Akira Todoroki,JSME Int. J.,Series A，Vol.48，No.2, (2005),pp.65-72
	部分柔軟CFRPを用いたヒンジレス構造　有人飛行では困難な地域での観測を行うため，小型で取扱簡便な無人小型飛行機(Unmanned Aerial Vehicles )の開発が行われています．無人小型飛行機は小さな揚力での飛行のため軽量な構造であることが必要です．　本研究では，複合材ヒンジレス構造の開発を目的として，部分的に柔軟構造をもった屈曲可能な部分柔軟CFRPを提案しています．轟章,熊谷圭祐,葉名紀彦,日本航空宇宙学会,第48回構造強度に関する講演会,2006.7.26-28 (神戸)
	カーボンナノチューブ/柔軟エポキシ樹脂複合材料の電気抵抗型大ひずみセンサへの適用　CNT を電気的機能強化充填材料と考えると，CNTは樹脂に充填することで導電性を付与することができます．これを利用すると，樹脂を電気抵抗型センサとして応用することが可能です．すなわち，樹脂のひずみや化学物質の吸収により電気抵抗が変化することを利用すれば，ひずみセンサや化学物質検知センサを製作することができます．　これまでに，VGCF/エポキシ複合材料を用いて一軸引張試験によりひずみに伴う電気抵抗変化を測定し，またパッチ型センサを製作し，その有効性を検討しました．その結果，20％以上の大ひずみの測定が可能であることが明らかにしました．安岡哲夫,島村佳伸,轟章,日本複合材料学会第31回複合材料シンポジウム, 2006/10/26-27,p.1-2
	電気容量変化の交流周波数依存を用いたCFRPの成形モニタリング　FRPに吸収された水はマトリックスである樹脂や繊維－樹脂界面の特性に影響を与え，圧縮強度や疲労強度などの機械的性質の低下や，ガラス転移温度の低下による耐熱性の低下を引き起こします．　本研究では新しいFRPの吸湿率測定手法として，薄いポリイミドフィルムを用いた層間埋め込み型センサを提案しています．提案したセンサはポリイミドフィルムの両面に電極をスパッタしてコンデンサを形成したもので，これをＦＲＰの積層構造物内に埋め込みセンサの誘電率変化を測定することでFRPの吸湿率を間接的に測定するものです． Yoshinobu Shimamura, Takashi Urabe, Akira Todoroki, Hideo Kobayashi，Key Engineering Materials Vol.270-273 (2004)p.1957-1964.
	統計的診断手法を用いたジェットファンのヘルスモニタリング　既存構造物に適用可能な診断手法として，異常の検知に特化した統計的診断手法を提案してます．提案手法では，センサ出力間の関係を応答曲面法によって近似するため，構造状態のモデル化が容易に行えます．また応答曲面の変化を統計的に検定することで構造状態の診断を行うため，基準データとして用いる健全状態のデータと診断対象のデータのみから構造状態の診断が可能です．このため，異常状態のデータを得るための破壊試験やＦＥＭ解析が不要となります．　提案した統計的診断手法をトンネル内換気用ジェットファンのヘルスモニタリングに適用し，大型構造物の状態診断への有効性の検証を行いました．トンネル内に設置した実機ジェットファンを用いたフィールド試験で一年以上にわたって測定したデータに対し，提案する診断アルゴリズムによる状態診断を行い，実環境ジェットファンの長期間の状態診断が行えることを実証しました． A.Iwasaki, H.Kuwahara, A.Todoroki, T.Sugiya，Proceedings of the Second European Workshop Structural Health Monitoring 2004, Edited by Christian Boller and Wieslaw J. Staszewski, DEStech Publications Inc., Lancaster, USA, (2004), 703-710.
	スマートタイヤ用パッチ型柔軟センサ　成形後のタイヤにも適用可能なタイヤ内側に貼付するパッチ型のセンサ作成を目的として，分離した2枚のフレキシブル基板を同一平面上で可とうエポキシを用いて接着した単層の電気容量型柔軟センサを提案しています．センサは，変形を低剛性で大きな伸び率を持つ超可とう性樹脂が受け持つため，センサとして低剛性かつ大変形にも対応可能であり，タイヤのひずみ測定用センサに適しています． Ryosuke Matsuzaki and Akira Todoroki，Sensors and Actuators A (in review).
研究テーマ	痛覚を感じる知的構造，知的複合材料航空宇宙機器構造の最適設計統計的設計・損傷診断無人小型飛行機のためのモーフィング複合材料
所在地	東京工業大学大学院理工学研究科機械物理工学専攻　轟研究室〒152-8552　東京都目黒区大岡山2-12-1 TEL： 03-5734-3178　 FAX： 03-5734-3178 （轟　章教授） TEL： 03-5734-3195　 FAX： 03-5734-3195 （水谷　義弘准教授） TEL： 03-5734-3184 （鈴木　良郎助教）
研究室サイト	轟研究室